通勤読書 「海と毒薬」遠藤周作

太宰治が「人間失格」の作中で、 罪の反対語となるものは何か。罰ではなく、神でもなく、信頼・・・か?と疑問を残した。 その答えがこの作品を読み返す度、ちょっとずつ解けそうな気がする。もう前に読んだ作品だけど読み直してみた。

無自覚の罪人には、罰せられるという実感も精神的苦痛もないのかもしれない。罪の意識が生じたとき、はじめて罪に対して罰になるのかもしれない、とちょっと思う。
作品には人間(日本人)の弱さがにじみ出てると思う。 ひとこと断わる勇気があったなら、罪の意識を感じずに済んだ、精神的にも罰を背負い生きずに済んだ。
受け入れる強さでなく、受け入れざるおえない弱さから、善悪分からずとも頷いてしまうのも、罪。

海と毒薬 (新潮文庫)

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