弘前という街

kikuyuki2006-10-11

青森県の県庁を、弘前市でなく、青森市に持つて行かざるを得なかつたところに、青森県の不幸があつたとさへ私は思つてゐる。私は決して青森市を特にきらつてゐるわけではない。新興のまちの繁栄を見るのも、また爽快である。私は、ただ、この弘前市の負けてゐながら、のほほん顔でゐるのが歯がゆいのである。

弘前の街に着く。この街は岩木山からそう、遠くない。
明日はどうしようかノートに予定を書くも、計画通りになる試しもなく就寝。
いざ!弘前公園を目指す途中に開店前の街をぶらり、かわいい街並みだ。ついで教会発見。古本屋さん、や老舗っぽい専門店も多くある。

方向確認したく、信号待ちの背広姿のおじちゃんに弘前城を尋ねると、曖昧な返答。ん?と聞き返す前に手に持った書類から出てきたのは弘前ガイドで吹き出しそうになった。向かうは弘前城とのこと、成り行き半日ともにゆくことに。
 
あまり大きくないお城だ。ひとときの旅の共のおじちゃんはおもったよりちっちゃいなあ、とややがっがりしている。案内してもらうと、戦いに備えるだけの物置のような場所で、弘前城は戦争で焼けたとか、被災にあったとか、そういう理由でなく、廃藩置県を行った当時の明治政府の改革によって土地を奪われその姿もなくした。政府以外の勢力を生かしておけなかった、人の手によって壊された。それを聞くと本丸が残っているということが、奇跡的でありがたく思う。城がある街は素敵だ。弘前公園からは岩木山がよく見える。

弘前城のある、弘前公園から少し行くと「ねぷた村」があり、名産物がずらり。中に入ればねぷたを展示してあって、その由来の簡単な説明をしてくれる。祭りの日本太鼓をたたいて再現すると館内は祭りの雰囲気を匂わせる。最後には一緒に叩かせてもらえたりして。よい思い出。
          
太宰治も愛した喫茶、としてその再現珈琲も登場した喫茶「万茶ン」。るるぶ、にもこの文句は書かれている。
太宰の世界に少し立ち入ってみたい気分になるもので、私は喫茶店は行き当たりばったり雰囲気のよさそうな所に入るものなんだけれど、巡回していたおまわりさんに聞いて、「ああ、分かりにくいから途中まで一緒に言ってあげるよ」とまた親切を受ける。大通りしか通っていなかった自分、本当に分かりにくい細道。
万茶ン。かわいい名前。店もかわいい。

小泊でも一時見知らぬおばさんと旅をし、今日も思った。二人でいると、楽しくもどかしく。で、ひとりに戻るその瞬間は寂しく思う。恋愛のようね。

私はこの愛する弘前城と訣別する事にしよう。思へば、おのれの肉親を語る事が至難な業であると同様に、故郷の核心を語る事も容易に出来る業ではない。ほめていいのか、けなしていいのか、わからない。

地元をけなす、とほめる、は紙一重という気がする。ここは太宰の愛した弘前城弘前公園。私は、素直に素晴らしい所だと書き記しておきたい。

※一部mixiそのまま抜粋